なぜ企業はビットコインを購入するのか?——日本企業に広がる新たな潮流

投資

 

こんにちは、だいちゃそ(@daichiblog▶️プロフィールはこちら)です。

近年、ビットコインを保有する日本の上場企業が増えてきました。特に「メタプラネット」が大規模な購入を進めており、それに続くように多くの企業が相次いで参入しています。かつては個人投資家の投機対象という印象が強かったビットコインが、企業の財務戦略の一部として注目を集めているのです。本記事では、その背景と今後の展望を探っていきます。

 

1. 背景

(1) マクロ経済環境

世界的に進行するインフレ、円安・ドル高の流れ、各国での金融緩和や財政出動による通貨価値の不安定化。こうした環境は「法定通貨だけで資産を保有すること」へのリスクを意識させています。

(2) ビットコインの特性

ビットコインは発行上限が2,100万枚と定められ、供給が制約されている点で「デジタルゴールド」と呼ばれています。世界中で取引され、流動性が高いことも企業にとって魅力的です。

(3) 海外事例の影響

米国ではマイクロストラテジー(MicroStrategy)が巨額のビットコインを保有して話題を呼び、テスラや他の上場企業も同様の動きを見せました。これが「企業のバランスシートにビットコインを載せる」ことの先例となり、日本でも注目され始めています。

 

2. 日本のビットコイン保有企業リスト

以下に、2025年時点で確認できる主な日本上場企業のビットコイン保有状況をまとめました。

順位 企業名 証券コード 保有BTC(枚) 備考
1 Metaplanet(メタプラネット) 3350 約17,000〜20,000 BTC 資産の相当部分をビットコインに振り向ける戦略を取り「日本版MicroStrategy」と評される存在
2 NEXON(ネクソン) 3659 1,717 BTC 日本初の大型購入事例
3 リミックスポイント 3825 約1,000〜1,200 BTC 暗号資産関連事業も手掛けており、シナジー効果を狙い、財務戦略として定期購入を実施
4 ANAPホールディングス 3189 約1,000 BTC超 本業はアパレルですが、ビットコイン取得を発表し株式市場から注目を集める
5 gumi 3903 約80 BTC(10億円相当) Web3領域に積極展開しており、取得したビットコインをステーキング運用するなど、より積極的な活用方針を示す
6 S-Science(エスサイエンス) 5721 約151 BTC(直近追加) 財務戦略の一環としてビットコイン投資

この表から分かるように、規模の大きさではメタプラネットが突出しています。

一方で、gumiやエスサイエンスのように比較的小規模でも「企業価値向上」や「事業戦略との整合性」を意識した購入が増えている点が特徴です。

 

3. 今後の展望

(1) 企業財務への影響

ビットコイン価格が上昇すれば含み益が企業価値に直結しますが、下落時には損失計上のリスクも大きいです。特に短期的なボラティリティが財務に与えるインパクトは無視できません。

(2) 投資家・市場の反応

ビットコイン保有を発表することで株価が急騰するケースもあり、投資家の注目を集めやすい一方で、投機的な思惑先行となる懸念もあります。中長期的な戦略をどう説明するかが問われます。

(3) 規制と会計基準

暗号資産に関する会計基準や税制はまだ流動的です。今後、国際的な会計基準の整備や金融庁による規制明確化が進めば、より多くの企業が参入しやすくなるでしょう。

(4) 中長期的なシナリオ

  • 標準化シナリオ:ビットコインが「企業バランスシートに載る一般的資産」として普及。
  • 補完資産シナリオ:株式・債券・金などと並ぶ分散投資先として位置付け。
  • 一過性シナリオ:規制や価格変動で参入が限定的にとどまる。

現時点では、前二者の可能性を見据える企業が増えているように見えます。

 

4. まとめ

企業によるビットコイン購入の動きは、インフレや通貨不安といった外部環境を背景に加速しています。日本では、メタプラネットのような大規模戦略型から、gumiのようにWeb3活用を見据える戦略型、ANAPやエスサイエンスのように財務戦略・株価対策を意識した企業まで、さまざまなプレーヤーが参入しています。

今後は規制や会計制度の整備とともに、企業がどのようにリスクをマネジメントしつつ、ビットコインを資産ポートフォリオに組み込んでいくかが大きな焦点となるでしょう。

企業にとってビットコインが「一時の話題」か「持続的な財務戦略」になるのか、2020年代後半はその分岐点を迎えています。

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